シベリアハスキーのロンが家に来た時は私は小学校の1年生でした。幼稚園から、小学校に進級したお祝いに両親が犬を買ってくれたのでした。私自身が犬を飼いたいという気持ちもありました。ただそれだけでなく、私自身が良く小さい時にしばしば病気をしたので、ちゃんと育つか心配を親にかけていました。そしてなんとか、私が取り敢えず小学生にはなったということで、親自身が祝いたいという気持ちがあったようでした。
ロンが家に来た時は生後数週間でとてもとても小さな犬でした。だから最初の頃は、ロンではなくチビと言っていたのですが、どんどん大きくなるのでびっくりしました。私も成長期であったので、身長が伸びる時期ではありましたが、ロンの成長速度は私のそれを凌駕し、それも6ケ月ほどたてば、私と同じくらいの大きさになってしまいました。ロンと名前を呼ぶと、家族の中で一番なついている私に抱きついていきます。ロンが小さい間はそれでよかったのですが、大きくなっても同じ要領で抱きついてきます。
私の方は小学一年生であまり大きい方ではなく、140CMくらいでしたがそれに130CMのシベリアンハスキーが飛びつくと、かなりのダメージがありよくひっくり返ったりしました。最終的に160CMになりましたが、それは変わりませんでした。散歩も私が家族の中で当番制でよく言っていましたが、しつけ教室に行くまでは、ロんは私の前をどんどん行こうとするので、私が引っ張られるように散歩をすることがよくありました。家族でキャンプに行くのが私の家では、年間のルーチンイベントになっていました。春と秋には近隣のキャンプ場にワンボックすにキャンプ用品を積んで、一家で出かけるのが私の楽しみでした。もちろん成犬になったロンも一緒です。
食事の準備を両親がしている間に、私はロンと一緒に近くを散策して、キャンプファイアに使うマキをひろいにゆきました。ある時調子に乗って、私とロンは山奥に入ってしまい、帰り道がわからなくなってしまいました。夕方まで山の中をさまよって、地べたに座り込んでうじうじしていたら、突然ロンの首輪ロープをひっばる力が働きました。みるとロンが私の手に巻き付けた首輪ロープを引っ張って、動き始めたのでした。当時は私よりも大きい犬だったのでそれなりの力で持っていかれました。私もどう行けばいいのかわからなかったので、引かれるままについていったのでした。
だいたい15分ほどしたら、元のキャンプ地にたどり着きました。親たちはあまり心配していませんでしたが、私はロンを抱き締めて泣いてしまいました。今でもよく覚えています。そのロンも今は9歳になりオバアチャン犬になりました。あまり動きは無くなりましたが、しっかり私の家の家族メンバーを務めています。